記憶の中で…


「俺、父さんに謝んなきゃ。」

「?」

「『親じゃない』なんて言ってごめん。ユキとユキのお母さんに言われて気がついたんだ。俺を育ててくれている間は間違いなく親だったんだと。だから、今までありがとう。でも、これからもずっと俺の父さんでいて。ドイツに行ったら、またきっと会いに行く。

ああ、旅費は出してね。それぐらいはいいだろ?」

「プッ。クックックッ…。アハハハ…ナツキったらちゃっかりしてるー!」

皆で笑った。

「それから、この間、母さんにも会って伝えて来た。記憶も戻って、父さんから全て聞いたって。そしたら俺の方を向いて涙を流したんだ。凄いだろ?だから母さんもきっとすぐに良くなるよ。」

「志保が…?」

父さんの目にまた涙が溜まっていくのがわかった。

「ナツキ…。ありがとう。」




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