記憶の中で…


ナツキは何か思いついたように急に顔を上げた。

「そうだ!ユキ。俺たち肝心な事忘れてた。俺が入院してた病院。あそこも脳外科だったんだ。」

あ…そうだ。何で今まで気がつかなかったんだろう。一番身近な病院だったのに。

「明日あそこの先生に…。」

「ナツキ!」

ナツキの言葉を遮った。

「何だよ?」

「私が言った事聞いてた?急激な変化はストレスだよ。何で明日?一ヶ月先でもいいじゃない。先生はどこにも行かないよ。」

「あ…ごめん。ユキも疲れてるよな。いいよ、俺一人で行って来る。」

「ナツキッてば!!お願いだから言うこと聞いて。私、記憶が混乱して苦しむナツキは見たくないの。お願い。」

懇願する私に静かに答えた。




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