ζτογу-1nd-
第4章〜運命〜

勇気






―――…ポタッ…ポタッ…










ヒナ
『………ウ……ック…』





タクシ
「無理矢理…翼クンの所…
連れて来たりして…
……………ごめんね…。

でも俺―――…
翼クンに自分の気持ちを
聞いて欲しかったんだ…。
翼クンの前で
陽菜に伝えたかったんだ…。」





ヒナ
『…………ヒック…ヒック…』










翼が逝ってしまって
翼に逢いに実家へ行った帰り

純クンと行った海…





―――…あの時。





“泣くのは最後にするから”





そぅ言って
思い切り泣かせて貰った。



それからは





どんなに苦しくても

どんなに辛くても





泣かないで
ずっと我慢してた涙…



あれから
初めて人に見せた涙だった…。






一度流れた涙は
ポタポタと止まる事を知らずに
溢れ出す。










タクシ
「…もぅ泣かないで――――…」





指先で拭ってくれた
拓真の暖かい手に…


覗き込みながら聞こえる
拓真の優しい声に…





―――…スゥ…





陽菜は頷きながら
ゆっくりと立ち上がり





ヒナ
『………翼が…好き…だった…

……………〔ひまわり〕…』





涙でグシャグシャになりながら
笑顔を作ると



ゆっくりと歩いて
翼の墓の前へ行き
〔ひまわり〕を供えた。





そして
拓真と2人手を合わせる。










陽菜がココに来たのは


2度目。





1度目は
翼が逝なくなってからすぐに
純クンと来た。



その時には気付かなかったけど

翼の墓は高台にあり
目の前には広い海が見渡せる
見晴らしが良い場所。





《きっと…

夜星も綺麗に見えるよね》






そぅ思いながら
拓真に手を取られ車に向かった。



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