ζτογу-1nd-





車中で2人は
しばらく言葉を交わさなかった。





《拓真は本気で言ってくれたの?

本気で陽菜の事思ってくれてるの?


拓真の事………



嫌いじゃない。

―――…でも陽菜は…


汚れてる―――…



こんな陽菜なんかじゃ…》





不安が一杯で
拓真に声を掛けられず

そんな事を考えてる
陽菜の心を見透かしたように
拓真が沈黙を破った。










タクシ
「―――…陽菜…

俺がさっき言った事…

…アレ………本気だから…」





陽菜が、そっと目を向けると
運転しながら
真っ直ぐ前を見つめてる
拓真から目を離し俯いて





ヒナ
『…でも…陽菜…
……………汚れてる…。』





膝に置いてある手で
ギュッとスカートを握り締めた。





タクシ
「―――…じゃぁ…

俺が綺麗にしてあげる…。」





ヒナ
『…本気で好きに………

――…なれないかもしれない…』





タクシ
「……俺が本気に
させてみせるよ…。」





ヒナ
『―――…陽菜の前から…
居なくなっちゃうのが
……………恐いんだ…。』





タクシ
「俺は絶対…
陽菜の前から
……居なくなったりしない…。」





ヒナ
『…こんな陽菜の…
…何処が良いの?…』





タクシ
「陽菜は陽菜だから…
そんな陽菜が良いの…」





そぅ言って
ハンドルを握っていた左手を離し
スカートを握り締めて震えてる
陽菜の右手を握った。



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