天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ
それからどのくらい時間が経過したのだろうか。

「ん…」

芽々は雨に濡れた事によるショートから自動的に復旧する。

気がつくと。

「よぉ、目が覚めたかい」

宜虎にお姫様抱っこされたまま下山途中だった。

「ちょっ!なっ…!」

お姫様抱っことは予想外の展開だ。

思わず赤面してしまう芽々。

「気絶したまま放っておく訳にもいかねぇんでな。勝手に連れ帰らせてもらってるぜ…それにしてもパニクる訳だ。芽々があんなに雷に脅えるたぁなぁ」

どうやら宜虎は、芽々の水濡れによる行動停止を、『雷の音による気絶』と勘違いしているようだった。

つまり芽々が人造美女である事には気づいていないらしい。

「すまなかったなぁ、怖ぇ思いさせて」

「え…んと…ううん…」

宜虎に抱きかかえられたまま首を横に振る芽々。

…芽々の分と二人分の荷物を背負い、更に芽々自身をも抱きかかえ、それでも涼しい顔で下山する逞しさを見せる宜虎。

< 139 / 153 >

この作品をシェア

pagetop