御曹司の溺愛エスコート
「サクラ!」


店内は奥行きがあり、意外と広い。
奥は中二階のスペースがあり、そこからハリーが顔を見せた。


「こんにちは」


こんにちは。ハリーと言いたいところ……。


「今日も来てくれたのか?」


桜を見て嬉しそうに笑うが、後ろにいる蒼真を見ていぶかしげな顔になる。


「私の従兄……彼は脳神経外科医なんです」


桜が紹介をすると、ハリーは嬉しそうに顔をほころばせる。


「脳神経外科医! すごいな! サクラにこんなに素敵な従兄がいるとは思わなかったよ。ハリー・モーガンです」

「あっ」


と桜が思った時には、ハリーは名乗ってしまっていた。


「ハリー、桜がお世話になっています」


蒼真は表情を崩して、右手を差し出した。


桜の言う恋人のハリーか……。


「私の店には良い医学書がたくさんありますよ。ミスター?」


ハリーも手を差し出しながら、名前を尋ねる。





< 118 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop