御曹司の溺愛エスコート
「桜が嫌なら検査入院しなくてもかまわない」

「本当?」

「ああ。だだし、簡単な検査だけは受けて欲しい」


入院は望が亡くなった時を思い出す。
ひとり寂しく、誰にも声をかけられぬまま過ごした病室。
入院は絶対に嫌だった。


「簡単な検査?」

「そう。すぐに終わる簡単な検査だ」

「……それなら受けます」

「良かった」


蒼真が柔らかい笑みを浮かべた。
ホッとしたという所だろうか。


「シャワーを浴びてくる」

「はい」


きちんと一膳を食べた桜はテーブルのものを片付けた。
きれいにキッチンの中を片付けて、ふと顔を上げると紺のガウンを着た蒼真が桜を見ていた。


「蒼真兄さま……」


見られていた事に気づかなかった。
夢中になって片付けていたらしい。



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