御曹司の溺愛エスコート
「桜は綺麗に片付けるね?」

「その方が気持ちいいから」


柔らく微笑んだ桜を見て蒼真は安堵した。
自分が側にいると桜の神経がたっているのを感じているのだ。


「あ、蒼真兄さま。これから食事は私が作るから」

「無理しなくていいんだ。家政婦を雇うつもりだ」

「誰も雇わないで」


人が入る事によって、ささやかな桜の幸せが壊れる気がした。


今だけの幸せを。


「桜に負担はかけたくないが……お前がそう言うのならやってみるといい」

「ありがとう」


蒼真に了承を得た桜に笑顔が戻った。


桜の笑顔を久しぶりに見た気がした。


蒼真は桜を抱き寄せた。



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