御曹司の溺愛エスコート
桜が帰って来るまで蒼真は気が気でなかった。
帰宅予想時間をたて真琴を迎えにやるが、マンションを出てから30分以上経っていた。


まだ着かないのか?


桜の携帯電話にかけると電源は切られていた。


きちんと整頓された部屋の中をいらいらしながら歩き回る。
すでに外は真っ暗だ。


******


電話を切った桜は急いで駅に向かい丁度来た電車に乗った。
その電車は桜の帰る方向とは反対の電車だった。
気付いたのは30分も乗った後。


桜は重いため息を吐いた。


やっちゃった……。
乗り間違えちゃうなんてバカ。


再びマンションへ戻る方向の電車に乗り、イスに座ると疲れて目を閉じた。


蒼真兄さま、怒っているだろうな……。


昔も帰りが遅くなったことがあって叱られた。


1時間後、やっと乗り換えの駅に着いて桜はホームで電車を待った。


木枯らしが吹きつけて寒さに震える。
目の奥が痛くなってきた。
頭痛の起こる予兆だ。



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