御曹司の溺愛エスコート
「私はこれで帰ります。明日は8時に参ります」


マンションの地下駐車場へ着くと、真琴が口を開いた。


「あぁ。ご苦労様」

「桜様、お疲れのようですのでゆっくりお休みくださいませ」


真琴は自分の車に乗り込むと帰って行った。


「桜、行こう」


桜の腕に軽く手を添えてエレベーターに向かった。


朝2人は口論していたのだ。
一歩的に桜が部屋にこもり、口論にはならなかったのだが。


エレベーターに乗り込むと蒼真は桜の顔を良く見た。
明るい場所で見ると桜の顔色は青ざめていた。


何も今日墓参りに行かなくても……。
疲れ切っているじゃないか。


俯いている桜の身体がグラッと揺れた。


「桜!」

「立ちくらみしちゃった……」


頭の痛みに顔を顰める。


「いつから頭痛がするんだ?」


頭痛がした時に顔を顰める仕草は昔と変わらない。


「……電車から」


エレベーターが到着すると、蒼真は桜を抱き上げて部屋に向かった。


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