御曹司の溺愛エスコート
蒼真は桜のショックを受けた顔が忘れられなかった。


桜はアメリカで幸せに過ごしていると思っていた。2年前に仕事でニューヨークの病院に行った帰りにシカゴへ寄らずにはいられなかった。


桜を引き取った祖母の家が見える場所に車を止めると、桜が家から出てきた。そして迎えに来た金髪少年のオープンカーの助手席に乗って走り去った。その時の桜の笑顔にショックを受けた。

もう自分を必要としない桜。


そうふっきったはずの自分だったが……。


髪の毛も美容師の手にかかっていない桜はシカゴで苦労しているのだろうか。


あの時、桜を忘れたはずだったのに空港のバス停で子供のように途方にくれた姿を見た瞬間抱きしめたくなった。


蒼真はぎゅっと握りこぶしを作っていた。


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