御曹司の溺愛エスコート
「まったく! 記憶喪失だなんて都合のいい子ね!」


秋月夫人は苛立つ気持ちを落ち着かせようと、タバコとライターを手にした。


桜の視線がカチッと音をたてた方へ動いた。


「!!!!」


声にならない悲鳴を上げた桜は芳乃の腕の中で意識を失った。


「桜様!? 桜様!?」


その時、乱暴にドアが開き蒼真と真琴が現れた。


「桜!」


蒼真が目にしたのは桜が芳乃の腕の中でぐったりしている姿だった。


「桜!」


蒼真は他の者には目もくれず桜に近づく。


「突然、意識を失ってしまって」


芳乃が説明すると蒼真が桜を抱き取った。



< 320 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop