御曹司の溺愛エスコート
「望くん……」


そう呟いた時、老人の声が桜の名前を呼んだ。


「桜お嬢様では?」


桜は声に驚き方を震わせると、慌てて振り返った。


「ああ。やっぱり。その瞳は忘れませんよ」


桜の瞳を見て老人は皺のある顔をほころばせた。


「管理人さん……」


昔からいる別荘の管理人だ。


「こんな所で……おひとりでございますか?」

「え、は、はい」

「外は凍えるようです。さあさ、別荘の中へ」


百合の花束を抱えた桜を心配そうに見た。


「あの……鍵は持ってないんです」


桜は首を横に振る。


「大丈夫ですよ。私が持っていますから」


そう言うと表玄関の方に歩き始めた。

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