御曹司の溺愛エスコート
「風呂に入ろう」

「あ、管理人さんが用意してくれて――」


黙って出てきたことが気になって忘れていた桜だ。


「行くぞ」

「行くぞって?」

「一緒に入るに決まっているだろう。もう目を離さないからな」

「外は雪が降ってて逃げられないよ」

「やっぱり逃げる気でいたのか?」

「そうじゃないけど……」


蒼真は切れ長の目で桜を睨むとすくうようにして抱き上げた。


「きゃっ!」


ぐらっと揺れる身体を安定させようと蒼真の首に腕を回した。
蒼真は桜と視線を絡ませたまま浴室に向かった。


******


「あん……っ」


ふたりは大きなバスタブの中にいた。
蒼真は桜を後ろから抱え込むようにして熱い湯船に浸かっている。
その手は桜の胸の頂を弄んでいる。


「ん……や……」

「私を焦らせたお仕置きだ」


やまない愛撫に桜は蒼真の腕の中で身をくねらせた。
蒼真の唇が耳を食む。
そしてねっとりとした舌で耳殻をなぞりあげる。


「っあ……ぁ……」


お腹の中から全身に伝わる感覚に甘い声が抑えられない。
桜は身体を動かし蒼真と向き合う。
蒼真は唇を重ねると、桜の口内を貪るように舌で堪能していく。


熱かったお湯はぬるくなりかけていた。
蒼真は桜を抱いてタオルに包むと寝室に連れて行った。


そしてこれ以上ないくらい優しく桜を抱くと眠りに就いた。
桜の隣で寝顔をしばらく見つめていた蒼真だが目を閉じるとすぐに眠りに落ちた。





< 340 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop