御曹司の溺愛エスコート
久しぶりに会う蒼真兄さまは今でも私の心を強く惹きつける……心をグッともっていかれるような……そんな気持ちになる。


「荷物は?」


桜の荷物は小ぶりのスーツケースが一つと、肩から斜め掛けにしているショルダーバッグのみ。


「あ、はい」


桜はハッと我に返り、スーツケースの持ち手を掴んだ。


「これだけ?」

「はい。そうです」


一週間もいない日本滞在なので荷物は少ない。


桜が運ぼうとスーツケースを引っ張ると、すっと手が伸びてきて蒼真に奪われる。


相変わらず美しい指。
細く長いのだが、女性的ではなくしっかりした男性の指。


蒼真は29歳と若いが、天才脳神経外科医と言われている。


そんな人に重たいものなど持たせられない。


「大丈夫です」


桜は蒼真からスーツケースを取り上げようと引っ張る。


歩きかけた蒼真は立ち止まった。
そしてサングラスをはずし、片方の眉を上げて桜を見つめる。


茶色の瞳は桜の顔を見ている。
じっと見つめられて桜はグレーに近いブルーの瞳をそらした。


「いくぞ」


再び桜の手からスーツケースを奪い歩き始めた。


足早に蒼真に歩かれてしまい、桜は小走りに追った。



< 4 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop