御曹司の溺愛エスコート
「やめて! いやっ!」

「桜!?」


蒼真が身体を揺さぶり名前を呼ぶと、桜はぼんやりと目を開けた。


「桜、どうした?」


覚醒していない桜はもう一度瞼を閉じた。


いったいどうしたんだ!?


夢見が悪いのか桜の身体は汗ばんでいる。これではもっと上がってしまう。


桜の小さなスーツケースはこの部屋に届けられていた。
鍵もかけられていないスーツケースから着替えを出そうと開ける。


なんなんだ? このスーツケースの中身は……。


中に入っているものと言えば、2組のパンティーとブラジャー、パジャマ、白のブラウスと黒のスカート、それに今朝見たサランラップしか入っていなかった。


こんなに質素な荷物は初めて見た。


桜……。


蒼真は胸が締め付けられた。


まさか……向こうで苦労をしているのか?


シカゴで桜が住んでいたのは、中流家庭の庭付き二階建ての家だった。




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