御曹司の溺愛エスコート
室内へ入った蒼真は驚く。
ほとんど家具の無い質素な狭い部屋。


「あまりじろじろ見ないで……」


蒼真の身体が大きいせいで、狭い部屋がより狭く見える。


次の瞬間、蒼真の腕が伸びて桜は抱きしめられていた。


「蒼真兄さま……?」

どうして私は抱きしめられているの?
どうしてここに蒼真兄さまがいるの?


「黙って帰るんじゃない……身体は大丈夫か?」


蒼真に抱きしめられ、桜の頭はクラクラしてきた。


「大丈夫です……」


蒼真の胸に手を置き、密着を避けようとした。
そんな桜の頬に蒼真の指が撫でるように触れた。


「冷たいな。暖房は点いていないのか?」


外にいるのと同じくらいこの部屋は寒かった。
桜は節約の為にヒーターを点けていなかった。
よっぽど寒くて我慢できない時だけ点ける生活を送っていた。



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