御曹司の溺愛エスコート
蒼真に惨めな生活を見せたくない桜はヒーターに近づいた。
コンセントを入れ、スイッチを入れるがヒーターはうんともすんとも言わない。


「……点かない」


どうやら壊れてしまったようだ。


「桜、温かい食事を食べに行こう」


桜は一瞬困った顔をしたが、頷いてイスに掛けてあった茶色のコートを羽織る。


蒼真はこのアパートがあまりにもみすぼらしく、治安の悪い場所にあることに驚いていた。


今まで犯罪に巻き込まれなかったのが不思議なくらいだ。


こんな生活をしているとは、蒼真は思っても見なかった。



アパートを出るとタクシーを拾い、蒼真がチェックインしたドレイクホテルへ向かった。

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