恋愛ブランク
プロローグ






カチ、カチ、カチ、…時計の秒針を刻む音だけが教室に響く、私はただ、そこに佇んでいた。



「…はは、そっか」



右手には小さな花束、左手には卒業証書。夕日が私の顔を照らして、思わず俯いた。今日は中学の卒業式、黒板の卒業おめでとう、の文字の周りには、クラスメイトの思い思いの言葉で彩られてた。



「私、ダメだね」



視界が歪んで、涙が頬を伝う。いつの間にか、失ってるものが多過ぎた。さっきまで隣に居た、3年間を共に歩んだ親友は、私を置きざりにした。信じていた、なのに簡単にそれは裏切られて、私の気持ちを取り残した。



「…もう、誰も信じない…!!」



花束を黒板に叩き付ける。床に落ちたそれは花びらが散って、見るも無惨な姿だった。まるで、それは今の私みたいで。



「馬鹿みたい…」



ブレザーで涙を拭って、私は教室を出た。もう、二度と振り返らない。後戻りしない。





< 1 / 24 >

この作品をシェア

pagetop