幸せの明日
*第1章* 笑顔

汚れた心

「はぁ…はぁ。はい、恵ちゃん約束の5万ね。」

アタシの手元には5枚の札束が渡された。
おやじは、お金を渡すと手を振ってアタシの前から姿を消した。
『援交少女』
人はアタシの事をそう呼ぶ。
アタシは毎日の様に街に出て、中年のおやじ達と身体を重ねていた。
周りがどうこう言おうと、アタシには関係なかった。ただ…お金が欲しいだけ。
お金があれば、自分の好き勝手できる。
誰にも縛られなくて済むんだ……。


ポツ― ポツ―
雨だ…。
アタシは、お札を握り締めたまま空を見上げる。

「雨と一緒に、アタシの存在も…消えちゃえばいいのに……。」
アタシは雨に打たれ、ただその場に呆然と立っていた。
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