幸せの明日
「はい涼介。コーラで良かった?」
近くにあった自販機で冷たいコーラとサイダーを買った。
「おう☆さんきゅ。」
涼介は優しく頬笑んでアタシからコーラを受け取った。
アタシは涼介の隣に寄り添う様に座った。
缶のフタを開けて乾いた喉を潤す。
炭酸だから喉に染みた。

「涼介、今日はありがと。楽しかった。」
アタシは涼介にお礼を言った。
「俺こそ、ありがとな!すっげぇ楽しかった!!」
涼介はアタシを優しく抱き締めた。
「えへへ…♪」
「はは♪♪」
二人同時に笑みが零れてお互いを求める様に抱き合った。
「暗くなって来たね…」
「そうだな。そろそろ帰ろうか?」
「そだね。」
空を見上げると薄暗くなっていた。
「家まで送るよ♪」
「ううん。大丈夫。」
この公園からアタシの家までは5分弱で着く距離だった。
だからアタシは涼介の気遣いを断った。
「もう暗いし、涼介ん家遠いでしょ?アタシは大丈夫だから。ね?」
「けど…」
「帰り着いたら電話して?待ってるから。」

アタシは涼介の言葉を遮った。
「分かった。じゃあ帰り着いたら連絡するな。」
「うん。気を付けてね。」
涼介は納得していなさそうな顔をしていたがアタシの押しに負けて、しぶしぶと帰って行った。

アタシも自分の家に向かって歩き出す。
これから起こる悲劇も知らずに……。
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