幸せの明日
「涼介ぇ…死んじゃダメだよ…?救急車呼ぶから…」
アタシは携帯を取り出した。
だけど涼介が番号を押すアタシの手を止めた。
「大丈夫…だ…から…。」
「だけど…!」

―ギュッ―
涼介が力弱くアタシを抱き締める。
「恵…?」
「ん…?」
涼介との視線が重なる。
「俺な…恵に…会えて幸せ…だった。恵の…笑顔を見る度に…どんどん恵にハマっていったんだ……ゲホッ!ゲホッ!!」

「もぉ…喋らなくて…いいからぁ…グスッ…」
咳き込む涼介をこれ以上見ていられなかった。

どうして涼介がこんな目に合うのか…。
きっとアタシが弱虫で臆病で…弱いからだね…。
アタシのせいでこんな事になったんだ…。
涙が溢れる。

「恵が…俺の…生き甲斐だった…ホントに…弱い男でごめんな…」

『ごめんな…』

これ…
あの時の夢と一緒だ…。
涼介の悲しそうな顔も全部同じだった。
「涼…介ぇ…アタシのせいで…ごめん…」
「恵のせいじゃ…ねぇよ…。」
涼介はそう言ってアタシの頭を優しく撫でた。
いつも…涼介はそうやってアタシを宥めてくれたね…。
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