彼方
「右が伊織。彼方と同じ、日本人だ。
そして左が迂蘭だ。」
男はペコリと頭を下げた。
伊織、と名乗る男の方は20代だろうか。
黒髪に日本古来の着物を着ていた。
腰には刀がさしてある。
迂蘭の方はまさしく少年と呼べるだろう。
僕と同じ歳か、それ以下か。
どちらにせよ、僕より年上には見えなかった。
「伊織は土星、迂蘭は月だ。」
「!!」
僕を含めた4人ともが、迂蘭を見る。
「つ…っ、月!?」
「この人が…」
[月]の称号を持つものは
ユニバースでも最強を誇る強さなのだ。
「へえ、こんな少年がねえ。」
「何かの間違いじゃないのか。」
最強の強さを持つ人が
こんな僕と同い年くらいの少年だとは。
しかも、肌は白く全体的に見ても細い。
