もうひとりの…
彼女の葬儀が終わって一週間ほど経ったある日。

自分が抱いた疑問の答えを探すため、子ども達を実家に預けた私は、ある場所に立っていた。

古ぼけたその表札には、『松田』とあった。

彼女の実家だ。

思っていたよりも大きくて立派な家だ。それなのに、表札だけが異様に古くて印象に残る。何か、思い入れなどがあるのだろうか。

目の前にある立派な家は、テレビで稼いだお金で、彼女が建てたのだろうか。

ゆっくりと視線を上げて上を見ると、綺麗な白壁には、赤い屋根が乗っかっていた。

そのままベランダに視線を移してみると、双子の弟達が一緒に住んでいるような洗濯物の量ではなかった。彼等は独立して、今は一緒に生活をしていないのだろう。彼女の母親がひとりで住むのには、かなり広いように感じた。

< 20 / 40 >

この作品をシェア

pagetop