もうひとりの…
「突然お邪魔して申し訳ありませんでした。子供が具合悪くなってしまって、お通夜に伺えなかったものですから…」

「そうだったのですか。わざわざありがとう」

松田さんは上品に笑いながら頭をさげた。

「あの… 自殺だとニュースで聞いて… 本当に信じられなくて…」

私がそう切り出すと、にわかに松田さんの表情が険しくなった。彼女は肩をすくめてから、小さな溜息を吐く。

「あの子は最後の最後で運を使い果たしてしまったみたい。それまではこの上ないくらい順調だったのにね…」

寂しそうに語る彼女に、私の胸は掻き立てられる興味でドキドキしていた。

「ニュースでは、自殺の原因は不明とあったので、真奈美さんに何があったのか気になっていたんです…」

私がそう打ち明けると、松田さんは意外な顔をして私を見ていた。

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