もうひとりの…
「真奈美さんは隙が無さ過ぎて、少なくとも私には"本当の彼女"をどこからも見いだせなかった…」

それはまるで、人などを信用していないかのような…

「えっと…、何て言えばいいのか…」

言葉を繋げようと、私は必死に考える。

私は昔から、うわべだけの付き合いができない人間だ。だから友達も少ないし、付き合った男性だって今の夫だけである。

幼少のころにいじめの経験があったから、友人に関してはひどく不器用だった。

では、たくさんの人に囲まれていた彼女は?

(あ…)

私はある結論に達していた。

「孤独を掻き消すために…」

私がそうつぶやくと、松田さんは悲しそうに笑った。

「あなたの目は確かのようですね」

私は、その言葉を聞くと、顔をあげた。

「あの子は、愛に飢えていたのよ…」

松田さんのその言葉に、私はドキッとした。そして、彼女の口から吐き出されたその事実に、私は瞬きも忘れて夢中になって聞いていた。



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