もうひとりの…
「…解りません。自分でも不思議で仕方ないんです」

私は首を横に振り、さらに続きを口にする。

「日記にどう書かれていたかは解りませんが、お母さんの言うとおり、私は真奈美さんのことを好きではありませんでした」

「そう…。なぜ?」

「それは…」

私は鋭い視線で切り込んでくる松田さんに一瞬口ごもったが、小さくうなずいた後に続けた。

「彼女は、心を許していたのでしょうか」

「あの子は、人を信用していなかった、と…?」

私はうなずいた。

「確かに、彼女の周りには常にたくさんの友達がいました。でも彼女に"親友"と呼べる友達がいたかどうか、思い出せないんです」

私がそう話していると、松田さんはしっかりと私の目を見つめながら耳を傾けていた。

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