もうひとりの…
(真奈美が、死んだ…)

私は、再びパソコンの画面に視線を戻した。そこには、笑顔で報道陣に答えている彼女の画像が映っている。

その顔は、本当にどこにいてもよく見かけるのだ。

電車に乗っても、コンビニの雑誌売り場でも、家でテレビを見ていても…

彼女はこのびやかな世界に見事に染まっていた。

順風満帆だった彼女を何が追い込んだのか、私の中で小さな疑問が浮かぶ。気付けば、私は真奈美の自殺に関連した記事を読み漁っていた。

いつでもそうだった。本屋やコンビニで、どうしても好きになれなかった真奈美がモデルを務める雑誌を手に取ったり、週刊誌に彼女の特集が組まれているのを見かけると、必ず中身を確認してしまうのだ。

嫌いなはずなのに、だ。



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