黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ






別に送ってもらわなくても大丈夫…、って言いたかったけど。


さっさとバイクに跨ってる海翔に、今更言うのもあれかなと思ってしまい私もバイクに跨った。

それを確認した海翔はバイクをゆっくりと発進させた。



…でも、あれ?
海翔って私んち知らないよね?


現にうちとは反対方向に進んでる…。





「海翔っ!
うち、こっちじゃないんだけど!!」


「会わせたい奴がいんの!!
ついてきてくれる!!?」






風や周りの騒音にかき消されぬよう声を張り上げながらの会話は結構疲れる。


だから、会わせたい奴が誰なのかは気になったが、それはついてから聞くことにした。



そして着いたのは、海岸沿いにある、白い綺麗な一軒家だった。


そこの表札には、〝鐘田〟とかかれていた。



海翔の家…?
いやでも、海翔は鐘田組だよね、実家。


だったらここじゃないはずなんだけど…。





「ここ、兄さん夫婦が住んでる家」


「お兄さんの?
兄弟いたんだな」


「うん。
中入って?」


「え、でも勝手に入ってもいいのか?」


「いいのいいの。
いつもそうだから」






そういう海翔に促され、家の中に入ると、ふんわりとお花のいい香りが漂ってきた。








< 103 / 242 >

この作品をシェア

pagetop