黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「お邪魔しま、っす…」
「こっち」
手招きした海翔は、まっすぐ二階へあがっていった。
私もそれに続きのぼると、3つのドアがあり、その中の一番奥の部屋の前で止まった。
「入るよ、兄さん」
「海翔か。
チャイムぐれえ鳴らせよな、いい加減」
ズカズカと入っていく海翔に、私は入っていいものかと戸惑ううち、目の前のドアが閉まった。
あぁ…、やっちゃった。
てか、会わせたい奴、ってまさかの海翔のお兄さん?
「何やってんの。
中、入って」
「いやでも…」
「いいから」
不機嫌そうに顔を覗かせた海翔に引っ張られ、強引に中へ入ってしまった。
…ら、
海翔にそっくりな人がそこにいた。
「コイツがあの噂の〝優鬼〟?」
「そう。
ひいら…、でいいのか?」
「あー、いや、どっちでも」
「じゃあ、本名でいい?」
「ん」
海翔のお兄さんってことは、鐘田組の人ってことだし。
知られても困ることはないしね。