黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
「お前が、…優鬼か?」
そう尋ねたのは紳介、……ではなく和希だった。
「らしーよ。
初めまして、柊月夜……で、学校では通ってる、かな」
「学校では…?」
「お前は?
特攻服の色からして、……蒼龍の総長か」
月夜は紳介から視線を移し、和希にその眼差しを向けた。
それからお互い、さぐり合うように会話を交わす2人を、周りはどうなることかと見守った。
少し張り詰め始めた雰囲気を更に悪化させたのは…―――、
「おいっ!」
新太だった。
新太はズカズカと月夜に近寄ったと思ったら、いきなり胸ぐらを掴んだ。
「っんだよ」
「俺はテメェが青龍幹部なんか、認めねえぞ!
んな細っちぃ体して本当に喧嘩強いのか?
それ以前に、喧嘩自体出来んのかよ?!」
「新太!!
やめなさいっ!」
航太たちが止めに入るものの、新太は離そうとはしない。
張本人である月夜は、これまた平然と表情を変えずに……、いや、少しかったるそうに新太を見つめているだけ。