黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ
新太はそれから月夜をバカにしたように、言葉を吐き捨て続けた。
女みてぇな面して…、と、調子乗ってんじゃねえ、と発した瞬間。
月夜の様子が一変した。
「調子乗ってる、だって?」
「―――っ、なん、っだ……!?」
「乗ってなんか、ねえよ。
顔がいいから?
――族入んのに、顔は関係あんのかよ」
月夜の眼差しが冷ややかなものへと変わり、月夜が醸し出す雰囲気もどす黒い何かに変わった。
…―――殺気だ。
静かに溢れ出てくる殺気。
怒鳴ったりせず、いつもと口調は何ら変わりはないのに、―――。
俺が今の月夜から感じたのは、間違いなく恐怖。
声がいつもより低いのが更に拍車をかけた。
「………っ」
……怒ってる。
恐らく、ガチで切れてる。
こんな月夜は見たことがない。