黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅱ








新太が繰り出す攻撃を、月夜がひたすら避けてるこの状況は、

一見、月夜は避けるのが精一杯で新太が圧しているかのように見える。



だが。
…―――実際はそうではなかった。

月夜の表情をみれば、一目瞭然。


新太は見たところ本気のパンチを繰り出しているというのに、
月夜は余裕そうに頬を緩ませひょいと軽々避けて見せているのだ。




すぐさま止めようと航太と咲希斗が近寄ろうとした、…その時。


遠矢がそれを制した。






「遠矢、どいて」


「駄目だ。
もう少し、……様子を見させてくれ」


「なんで!?
無駄な喧嘩を止めるのは当たり前でしょ?」


「咲希斗たちには無駄かもしれないが、俺たちには意味がある」





遠矢の言葉に頷く紳介と和希。





「四天龍の幹部として相応しいか、確かめるいいチャンスなんだ」


「……っ、遠矢たちはまだ、つっくんのこと認めてないってこと?!」


「悪ぃけど、…そうなるな」


「つっくんは、優しいし仲間思いだし…っ」


「柊くんの性格はなんとなくだけど分かった。
だけどな?
喧嘩の強さが一番重要なんだよ。
四天龍の、まして青龍の幹部ってことは狙われる可能性が増してくる。
弱かったら、…ソイツが怪我するどころか、チームにまで影響が出る」


「っ………。
つっくんは、…喧嘩強いもん!
僕ら見たもん!!
新太より、…っつっくんは強いんだ!!!」






そう言い張った咲希斗。


遠矢が言っていることが確かで。


実際この世界は実力が強い者が上に立つ。

月夜の実力を知らない遠矢たちがそう言うのも仕方ないのかもしれない。






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