僕らのアナザーリアリティ
タッタッタッタッ...
「この近くに階段はここしかないはずなんだけど...誰もいない??」
「でも、俺たちは確かに聞いたんだ。一体どこにいるんだよ!!」
「歩落ち着けよ。絶対どこかにいるって!そうだよな......リト??」
「...屋上!!もしかしたら屋上かも知れない!!」
「流石リト!!」
「行こう柚木、歩!!」
「うん!」「ああ!」
......
「......おかしい...本当ならもう屋上についてるのに...」
「もう20分は階段登ってるぜ??まるでどこぞのお寺か神社の階段だ...」
「!リト、歩ドアだ!!」
「本当だ!!急ごう!!」
ダッ...
リトは残りの階段を一気に駆け上がりたどり着いたドアのノブを回した。
「あっ!リト待ってよ!」
ガチャ...キィ...
「...あれ...!?」
「リト~俺らを置いてくな...よ...」
「2人して何固まってんだよ!!...って...何だよこれ」
ドアを開けた3人の目の前には“屋上”が確かに広がっていた。
ただし、そこにあったのはまるで世界からそこだけあらゆるモノを切り取らたように色が失われ、無機質な、どこまでも冷たい印象しか与えない、梨斗たちの知るいつもの屋上ではなかった。
いや、ここでひとつ訂正しよう。色が失われたと表現したが正確には色が失われたわけではない。
ただ、空はまさに紫と黒が入り混じったような色になり、屋上全体は灰色に染まって、その空間には紫と黒、灰色、そしてもう一色、漆黒しかなかった。
その漆黒とは“屋上”の中央に在った。
“居た”ではない。“在った”のだ。
漆黒に染まりどんな形をしているわけでもなくただそこに“在る”のだ。
そしてソレは梨斗たちのほうをじっと見つめている。
「何なのコレ...」
いつもは3人の中で一番男らしい柚木が心の内側にある女の子の一面を無意識にさらけ出すほど、その光景は今までみたきた光景とは掛け離れた異常であり、異質だった。