センセイと内緒。
「してないよ。
あれから全然してない。」
「あれから?…あぁ、お前が中学生の時の事か…」
私は静かに頷いた。
お兄ちゃんは、あの事は気にすんなって言うけど、私にとってあれは…酷く心が傷ついた事だった。
――中学2年生の冬。
「優真(ゆうま)くん!マフラー編んでみたんだけど…どう、かな?」
「おぉ!すんげぇじゃんか!
さっそく巻くな!」
笑顔で私のマフラーを受け取ってくれた優真くん。
同級生の初彼で、付き合って3ヶ月の事だった。
…次の日。
「優真くん一緒に帰ろ……あれ?」
優真くんの教室に行ってみたら、話し声が聞こえてきた。
盗み聞きは趣味じゃないけど、ちょっとだけ話を聞いてしまった。
…聞かなきゃ良かったのに。
「おいおい、また彼女サンからプレゼントかぁ?」
「あぁ、マジうぜぇよ。」
ウザイ…?
一瞬耳を疑った。
「こんな手作りなモン、別に頼んでねぇのにさ。ほんとうぜぇ。
手作りとか重いし。」
「言うな優真ぁ!!まぁ、同感するけどよ!」
「だよな!はははは!!」