ハルアトスの姫君―君の始まり―
Prologue
 ハルアトス紀1760年。ハルアトス家とエフェリア家が互いの領地拡大を図り、第一次ハルフェリア大戦が勃発した。多くの市民が死に絶え、治安は双方に悪化した。
――戦いの末、ハルアトスがエフェリアの一部を獲得した。

 それから137年後の、ハルアトス紀1897年。ハルアトスの次期皇子、キリア暗殺が火種となって、ハルアトスが攻撃を開始し、第二次ハルフェリア大戦が起きた。これは魔法使いを駆使した戦法でエフェリアが勝利した。がやはり多くの死傷者が出ることとなり、国は大きく乱れた。

 思えばすでに壊れていたのかもしれない。〝理〟を崩したこの時にはもう。

 二度の惨劇を経て、もう決してこんな悲劇を起こすまいと、ハルフェリア平和条約が結ばれたはずだった。

 だが戦いは再び呼び起こされる。2年前の2月に。

『人はなぜ、戦うのだろう?』

 ジアはその問いの答えを出せないでいた。
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