ハルアトスの姫君―君の始まり―
俺は『ヒト』じゃない
「シュリー終わったぞ。」

「御苦労。」

「あのっ…お姉様は…。」

「着替えは終わったんだな。」

「はいっ!それでお姉様は…?」

「ここにいるよ。眠ってる。」

「ジアがなんでお前の膝の上で寝てんだよ?」

「クロハ、大声出さないでくれないかな?すごく…疲れてたみたいだから…。」


そう言いながらキースはジアの頭を撫でた。
そしてそっとその身体に手を置いた。


「信頼してるんだと思います。あなたのことを。」

「その姿の君には挨拶がまだだったね。はじめまして。
ミア、と呼んでいいのかな?」

「はい。…こうして言葉を交わすのは初めてです。
いつもお姉様がお世話になっていますね。…ありがとうございます。」


ミアはぺこりと頭を下げた。
銀のウェーブのかかった髪が揺れる。


「お礼を言われるようなことはしてないよ。」

「そんなことはありません。キース様にお姉様はいつも救われています。」


ミアは真っすぐにそう言った。


「様って呼ばれるの、慣れないな…。呼び捨てでいいよ。俺も呼び捨てにするから。」

「そこは…どうかご容赦ください。」


ミアはまた小さく頭を下げた。

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