ハルアトスの姫君―君の始まり―
求めるものは同じ
「シュリをどこにやったの!?」

「シュリを移動させたのは私ではないぞ。
その目で見ただろう?」

「…でもあなたなら、どこにやったか分かるんでしょう?」

「シャリアスは私の支配下にあるからな。
無論、キースもだが…。」


ジョアンナがキースを振り返る。
キースの表情はまるで人形のように変化がない。


「ハルアトスの姫君よ。
…私としばし、昔話をしようじゃないか。
姫君の知らぬ過去の話を。」

「…姫君なんて呼ばないで。あたしは違うわ。」

「違わない。」

「っ…!」


ジョアンナの表情から笑顔が消えた。


「ジア・ウォリティアヌ・ハルアトス。
それがお前の真名だ。
そしてお前の双子の妹であるミアもまた姫君…。」

「…どうして今更昔話なんか…。」

「死ぬ前の餞別だよ。ジア。」

「…どういう意味?」


そう問い返しながら、あたしは柄に手をかけた。

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