ハルアトスの姫君―君の始まり―
「じゃあやっぱりおれの予測は当たって…。」

『当たってた。…クロハはやっぱりすごいわ。』

「サンキュ。
それにしても何で言葉が戻ってんだ…?
声が直接頭に響いてくるんだけど?」


ミアの口から漏れる音はやはり鳴き声で。
だから音源は頭上と言った方が近い。


『…分からない。』


〝…あと、二つ〟


「え?」

『な…に…?』


今度は頭上ではなく部屋全体に響く、柔らかい女性の声が耳に届く。


〝あと二つ、揃えばミア、あなたの呪いは解けるわ〟


『お母様…?』

「口は動いてねぇぞ。」

『お母様!』


ミアがそう言っても、もう反応は示してくれなかった。
ここに眠る、二人。
それはすなわちハルアトスの国王、そして王妃だ。
その血を受け継ぐミア、そしてジアは…。


「お前たちは正当な王位継承者ってわけだ。」

『呪いが解ければ、ね。』

「なんだか知らねぇがあと二つ何かが揃えばいいんだろ?
…おれらがその一つをどうやったか分かんねぇが手に入れた。
役目は一つ、果たしたって言えるんじゃねーか?」


ミアが小さく頷いた。
その瞬間、もう一度涙が零れ落ちた。


「おれの役目は果たす。
果たしに行くぞ、ミア。」

『うん!』


眠る二人を残し、おれとミアはドアを開け、長い長い階段を降り始めた。

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