ハルアトスの姫君―君の始まり―
「…本当にすごいね、王家の魔力は。特に君たち双子は、と言うべきかな。」

「傷が…治ってる…。ミア…すげぇ…。」


傷という傷が綺麗に治っていた。やや悪かったシャリアスの顔色もほんのりと赤く染まっている。


「僕の方は大丈夫だ。シュリ、交代しよう。ミア、今度はシュリを頼む。」

「はい。」

「私のことはいい。ミアは穴に力を送れ。」

「でも…。」

「私は大丈夫だと言っている。早くしろ。」

「…だめ…だめです!」


ミアがミアらしくない大声をあげた。いつもは穏やかなその声がキンと響くのをシュリは黙って聞いている。


ポンとシュリの背中にミアの手があたった。


「大丈夫って言う人の大丈夫ほど信じられないものはありません。お姉様の〝大丈夫〟はいつだって嘘でしたから。」

「…意志の強さは負けていないな、ミア。」

「はい。」


先程シャリアスを包んだ光が今度はシュリを包む。
光のベールが完全に消えた時、シュリの身体の傷も完全になくなっていた。


「…助かった。さぁ、お前の仕事は尽きない。力を送れ。なくなるまで。」

「はいっ!」

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