ハルアトスの姫君―君の始まり―
「ごっ…ごめん、キース。」

「いやいや。謝ってもらうようなことじゃないよ。
シュリ様がそれを俺に勧めたんだし。」

「私が悪いような言い方だな。」

「違いますよ。シュリ様のご指示だからこそ従うに足る、という意味です。」

「もっともらしいことを言うな。」

「褒め言葉と受け取りましょう。」

「まぁいい。さて、そこの薬師…ではなく『医者』の質問に答えよう。」

「お前、あくまでおれの名前を覚えねぇつもりだな。」

「クロハ、で良かったか。」

「覚えてんじゃねーか!」

「そう怒るな。単純なやつほどせっつきたくなる性分なのだ。」

「改めろ!」

「クロハってば!」

「それで、私の正体の話だったな。」

「ああ。」


少しぶっきらぼうにそう呟くクロハ。どうやらかなり機嫌は悪い。


「お前には何に見える?」

「はぁ?」

「私は何に見える、と聞いている。」

「何にって…別に普通の女にしか…。」

「普通の女、か。普通の答えだな。」

「じゃあ何て答えれば…!」

「私は普通の女などではない。」

「は…?」

「え…?」


ジアとクロハは固まった。

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