藤井先輩の私。
「ほらっ、もう返しなさい!」
バシッと奪われた写真。
綾姉は大事そうに手帳に写真をしまった。
「…………」
「どうしたの?江梨香…あっ!もしかして悠太様に一目惚れしちゃった!?」
「……………えっ!!?んなわけねーだろ!!そんな弱そうな奴好きになるわけないじゃん!」
何動揺してんだよ。
写真一枚で人を好きになるわけない。
絶対…ない。
「あやしい!」
「好きじゃないってば!」
「うん。わかってるわ。江梨香は男らしい人が好きだもんね」
「そーだよ」
綾姉は納得したのか、それからまた藤井悠太という男の好きな所を長々と語り始めた。
でも…その話は聞いていて、面倒くさいなんて思わなかった。
逆にもっと聞きたいって思い始めた。
藤井悠太のことを知りたいって…思った。
「あっ、そうそう。これ見て江梨香!!」
「なんだよ」
綾姉は制服のポケットから名刺みたいなものを取り出して見せる。
白い紙に黒いワープロ文字で、
≪藤井ファンクラブ取締役会長:楠木綾女≫
と書かれてあった。