2222―SF(すっとぼけフィクション)―
○○○○○


あたしはワタルの目。

ワタルはあたしの耳と口。

大事なものをなくしちゃったうちらは、

二人いないと半人前にもなれないかもしれない。

そんなわけで、
ワタルは律儀に聞いたこと全部を教えてくれる。


それがうちらの約束。


まあ肝心な事をいってくれないときもあるし、

こんなふうに、
余計なことってのもだいぶ多いんだけど。

世の中、
聞かないほうがいいってこともある。

見ないほうがいいってこともある。

たとえば、
この地獄みたいに血のような濃い赤がにじんだオレンジ色の空とか。



◇◇◇◇◇


この国の地上にはもう住めない。

かつて栄華を誇ったこの国だったけれど、

今はもう、
それを証明するようなものは地上に残されていない。

地上に存在した殆どの施設は破壊され、

運良く残ったこの町も今やゴーストタウンだ。



地上に暮らしていたら、

いつ紅い雨に侵されて動き出した植物達に住処を破壊されるかわからないし、

他の動物もあの紅い雨に打たれたら、

正気をなくして狂った植物達の下僕になりさがり、

他の生き物の命を奪うようになる。



地上に出る理由といったら、

こんなふうにヤツラに対抗するための設備を調整しにきたり、

その他シェルターを維持するためのいろんな機械の調子をみにきたりするくらい。



こんなところに長くいても、いいことはない。


オレたちはボスの車でシェルターへと引き上げることにした。


< 16 / 61 >

この作品をシェア

pagetop