2222―SF(すっとぼけフィクション)―
◇◇◇◇◇


「こんにちは」


若い男の声と花のにおい。

それで、
誰に声をかけられたかわかる。

ユキに声をかけられたことを伝えたあとで、

「どうも」

オレは挨拶を返した。


オレたちの住む家の近くで花屋をやってる、


山下さんだ。


○○○○○


ワタルが真咲さんに言葉を返したあと、

あたしはワタルの手を開かせて、

携帯電話でメールを打つみたいに親指で手のひらをつついた。

今練習中の、あたしたちの新しい通信手段。


ワタルの手のひらを携帯電話に見たてて、

字のあるはずの場所を順番につついてく。

英語バージョンもあり。


ワタルは声の出る視覚障害者用の携帯電話を使ってて、

メールもボタンについてるでこぼこを頼りに打てるから、

携帯のボタン配置はだいたいわかってる。

この方法だと字を書くよりも、

ちょっと早く伝えられるきがする。


◇◇◇◇◇


これきれいナハナハですね…


いや、違う


「これきれいな花ですね、っていってます」

オレはユキの言葉を山下さんに伝えた。


「ありがとうございます。
よかったらおひとついかがですか?
サービスしますよ。
奥様にはいつもよくして頂いているんで」


っていわれたから、

ユキにそう伝える。

どうするユキ?

って意味もふくめて。


< 21 / 61 >

この作品をシェア

pagetop