2222―SF(すっとぼけフィクション)―
◇◇◇◇◇


結局、花はもらって帰ることにした。

せっかくのご厚意だし。


「お花、奥さんにお渡ししておきますね」


優しそうな山下さんの声が聞こえる。

間違いなく、

彼に好感を持つ人は多いだろう。


オレよりたった2つ上の20歳なのに、

こうして自分の店を持つのも頷けるような気がする。


ユキが
[お花もらったよ、帰ろう]


というので、

「お仕事、頑張ってください」


と挨拶をしてから、
またユキの肩をつかんで歩き出す。


その途中で、
山下さんのことをちょっと考える。


オレにも、
あんなふうにして店をもったりする可能性が、

昔はあったのかな、
なんて。

今はもう、
その資格すらない。


○○○○○


ホテルの廊下みたいに、

広めの道の両側に並べられたドア。


その一つがあたし達の家。

ってか、
部屋っていったほうがいいのかな。


ここに住んで、
もう半年以上が過ぎた。



家に入って、
ごはんを並べるテーブルの前にワタルを座らせてから、

食事の準備にとりかかる。


ワタル目が見えないから、

あたしがやるしかないからね。


今日の料理は、
ちゃんとできるといいな。



< 25 / 61 >

この作品をシェア

pagetop