2222―SF(すっとぼけフィクション)―
◇◇◇◇◇


しばらくして、
コトンって音がした。

お皿がテーブルに置かれる音だ。

メシの準備ができたようだ。


こういうとき、
ありがとうってあんまりいわない。


二人の人間が一人の人間として生きようとしているっていう意味で、

自分の事を自分でするのは当たり前のことだから。



[またしくじっちゃったけど、まあ食え]


ってユキにいわれる。

こういうときも、
ごめんなさいってあんまりいわれない。

ユキのしくじりも、
まあオレのしくじりというようなことになってるから。


しかし、
ユキは決して料理が下手ではない。

いつも
しくじったというが、
決して食べられないほどではない。


むしろおいしい。



食器の位置を確認して、

ひとくちふくめば、

様々な刺激の味が口の中いっぱいに広がる。


まったりとしていて、
それでいて
しつこくないんだ。


たぶん
ありえないことだが、

コイツと結婚するヤツはきっと幸せだろうなと思う。



○○○○○


うっぷ。

超まずい。

味濃すぎ。



なんでこんなに腕が上達しないんだろぉ…

たまに泣きそうになる。


いろんなスパイスが口の中でケンカしてる。

ワタルはこんなあたしの料理でもぱくぱく食べてくれてるけど、

たぶんそれはワタルのやさしさ。


いつも


うまかったぜ!


って伝えてくれる。


そのたびに、


あたしはその優しさに涙を流して感謝しなきゃならないなって思う……


泣いたことないけど。


◇◇◇◇◇


いつものようにユキのごはんに舌鼓を打っていたら、


ぴんぽーん♪


ってインターフォンの音がした。

オレたちはいつも並んでごはんを食べてる。


だからとなりにいるはずのユキをひじでつっついて、

誰かきたって事を知らせる。

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