2222―SF(すっとぼけフィクション)―
◇◇◇◇◇


オレは昔――
親友を見捨てた。


オレは、
親友の信頼を、
裏切ったんだ。


そして、
そいつは死んだ。


その時から、
オレは自分のために生きるのをやめることにした。



もう、

大事なものに捨てられていたし、

大事なものを捨ててしまってもいたから、

生きる意味も、
資格もないと思って。



だから、
死んでゆくことを望んだ。



そうして寂しく虚しく死んでいって、

親友を裏切った罰をうけたかった。


もちろん、
本当にそんなことはできない。


今だって、
死ぬのが怖くて、

それをユキに甘えたまんまになってるだけなんだ。


また裏切られたり、裏切ったりしてしまうのが怖くて、

ユキとおたがいに信頼しあわないという約束までして。


けど――


今、親友のために生きることができるような気がした。


ユキの幸せを心から願っていた男のために。



Kiss of bloody taste deprived her voice and sound.

血の味のするくちづけは彼女から声と音を奪った。

○○○○○


声を失う直前まで、


あたしはもう全部を片付けて終わるつもりでいた。


世界が憎かったし、
あたしごと全部なくしちゃうつもりだった。


それなのに
忘れようのない感触のキスは、

どうしようもないあたしを世界に残して。


地獄みたいな地響きのするところで、


ぽつんと残されたあたしが初めてワタルをみたときにはもう、


なにも信じないことを決めてた。



世界を壊すことも、救うことも。


あたしの声が戻れば、きっとできる。


歌っていたときは、花たちの声が聞こえてたから。



殺されることを望んだワタルと一緒に生きてきた目的は、


声を取り戻して、


世界を救うか壊すかの、


そのどちらかをするためだった。



どっちにしても、

あたしにはそんなに関係のないことなんだけど。


きっとそのときに、

あたしの命は終わるから。
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