2222―SF(すっとぼけフィクション)―
◇◇◇◇◇


オレは裕福な家の生まれ。


幼い頃、
何一つ不自由はなかった。


そして、
父さんにだって殴られたことがなかった。


なぜなら、
すべての拳を受け流すことができたからだ。


眼鏡をかけたサラリーマンの拳など、児戯に等しい。


素晴らしき格闘センスを、誇っていたのだ。


しかし、
教団に入ってから、
オレが井の中の蛙だったっていうことを思い知らせた女がいた。



それがこいつ――皆川スミレだ。



すっかり忘れていた。



教団に入る前、

オレは裕福な生活に溺れ、

ダイエットを怠り、

体重は7歳にして80キロ近くあった。


運動神経は最高だったんだけど。


教団の施設内では、集団生活を強いられる。


そのとき施設に入れられていたのは、12歳以下の子供達のみ。


その全員が花組とか雪組とかそんなのにわけられて、


毎日が修学旅行みたいな感じで暮らすことになる。



そしてスミレは、オレの班の監督係だった。



当時10歳。



とほうもなく暴力と血の中に生きてきた女だった。


そしてオレは、
ヤツと一緒の班になった日の夕方にはもう、

メタボという名がつけられボコボコにされていた。


同じ班のほかのヤツラも同じ洗礼をうけたという。


その頃のスミレはドSだったのだ。


そのときに初めて、
他人の軍門に下るという屈辱を覚えた。



おかげでオレは、その後二次元の女にはまることになる。



現実の女を恐れることしかできず…



「お前まさかスミレか?」


「そう。再会の挨拶が送れたけど、久しぶり。

上司の前だと、なんか話しにくくってさ。

でも、まさか生きてて、日本に戻ってきてたなんてね。

国民名簿からいろいろ調べてあんただって確信したとき、うれしかったわ。

あの事故でみんなやられちゃったと思ってたから」


< 45 / 61 >

この作品をシェア

pagetop