2222―SF(すっとぼけフィクション)―
◇◇◇◇◇


今から、約3年半前。


オレがいた中国で絶望的なことが起こった。


ヴァレッセルと呼ばれる教団の施設内での事故。


突然の、植物達の変化、暴走。

その影響は、中国という国家に壊滅的打撃を与えるまでに至った。

「あの事故の……原因はなんだったんだ?」

「噂だけどね、秘密裏に開発してた植物兵器の暴走だってのが有力よ。あたしの聞いたなかじゃあね。しっかし、ロクでもないことするわよねアイツら。アンタの包帯にしてもそうだし」



ヴァレッセル教団。


教団とは名ばかりで、実質はマッドサイエンティストの人体実験施設だ。

植物と人間の融合による進化。



あるとき、食料危機を迎えた世界情勢を反映してか、光合成が可能な人間への進化を目的とした研究が世界のどこかで始まった。


倫理上、それを表立って推進した国家はなかったけれど、研究は進み、結果として――暴走。まずはじめに、アメリカという国家が地球上から姿を消した。約20年前のことだ。


アメリカという国のほとんどが、48時間にして森に覆われてしまったのだ。


原因は謎。


やがて、それは急速に広がっていき、一週間後にはカナダ、南米をも飲み込んでいた。
そして今、アメリカという国があった場所には、まるで脳の形をしたような、巨大な一本の木を見ることができる。


ブレインツリーと呼ばれるその恐ろしく大きな木は、かつてのアメリカ国民から領土を奪ったかのように、以前にアメリカと呼ばれていた土地全体に君臨しているのだ。


そこに足を踏み入れた生物は皆、ブレインツリーに吸収されてしまう。

人食い森と恐れられ、そこに近づくものはいない。



さらに、森はユーラシア・アフリカ大陸にも広がっていった。
人類にとって幸いな事に、その進行具合はアメリカ大陸の時のように急速ではなかった。


だが、その後それまでに体験したことのない恐怖が人類を襲った。

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