授けられた力・消えた記憶

ルイとサキと思われる女性が見つめ合い、その空間を沈黙が包み込む…

そんな沈黙を破ったのはイワンである。

 「!?ルイ、知っとんのか?」

 「…」

が、ルイは動く事もなく、イワンの問いに答える様子はない。

異変に気づいたカリン。
心配の色を顔に浮かべる。

 「ルイ…?」

 「…」

カリンのその呼びかけにも、反応は何一つない…

次の問いを遮るように、執事が3人の前に立ちはだかる。

 「お嬢様はルイ様とお話があるそうです。どうぞこちらへ。」

 「…はい…」

執事にそう言われ、渋々付いていく3人。

部屋を出る際、再びカリンはルイの名前を呼ぶ…

 「…ルイ…」

 「…」

が、ルイは振り返らなかった…
サキを見つめたまま動かなかった…

悲しそうな顔をするカリン…

 「カリン、行くで…」

 「うん…」

それを見て、イワンはカリンの腕を掴み、部屋を出た。。

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